鷲見ヶ原うぐいすの論証
やっと旅行から帰ってきました。旅行中は忙しすぎて本読む暇も無かった……。
さて、電撃文庫8月の新刊、その一つです。内容はとあるあやしげなパーティに招かれた主人公とヒロイン。そこで殺人事件が起きて……というクローズドサークルなミステリー。
……のはずなのだけれど、最後まで読み進めると、どうも殺人事件は単なる蛇足というか補足というか……なくていいんじゃね?
作品の雰囲気はよく出来ていました。あやしげな洋館、不気味な麒麟像、嵐の夜に閉ざされたクローズドサークル。館の中での推理も論理的で面白いのですが……。
如何せん、推理と呼ぶには稚拙というか、超能力とウンチクとただの屁理屈合戦というか、ちょうどこの間やった『うみねこのなく頃に』みたいな、ミステリーと呼ぶには疑問が拭えない内容であったこと、しかし物語の大部分は殺人事件とその推理に費やされてしまうことがまず一点。
次に、冒頭で語られる『悪魔の証明』の結果が、単に『お前は二重人格の片割れでした』っていうのはないだろう、というのがもう一点。それだけの話に殺人事件は必要ないと感じました。あるいはこっちの悪魔云々が蛇足だったか。
どちらにせよ、物語のメインとなる部分が『殺人事件』とそれにまつわる推理と論証であるなら、もう少しまともなオチを用意してほしかったです。この作品は作者が何を書きたかったのかがいまいちわからず、オチに関しても事前に一度引き合いに出されたものであるため、アッと驚くものがありませんでした。
そんな感じで物語はわりとぐだぐだでしたが、この作品の見所としてキャラクターが魅力的に描かれているという点があります。というか、主人公と死体を除く登場人物が全員女性って……作者は何か狙うところがあったのでしょうか?
そうそう、作中で名前が出てくるにもかかわらず一切の登場がなかった薬歌玲というキャラクター、意味のないキャラを入れるんじゃねーと思いつつ調べたら同じ作者の別シリーズに登場するキャラクターのゲスト出演だったんですね。こういうちょっとした遊びができる作者はシリーズを読む上でちょこっと楽しめるのでわりと好きです。これで作中、このキャラクターにも出番と役割がちゃんと与えられていればな……。その辺り、あまり遠慮しないほうが別シリーズのファンも喜ぶと思うんですけれどね?
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